予防学の必要性



飛躍的に伸びた平均寿命


戦後、日本は飛躍的な高度経済成長を遂げました。
それとともに、人々の寿命も右肩上がりで、
今や人生80年の時代と言われるようになりました。

                             (単位:年)
暦年 男性 女性 男女差
昭和22 50.06 53.96 3.90
25〜27 59.57 62.97 3.40
30 63.60 67.75 4.15
35 65.32 70.19 4.87
40 67.74 72.92 5.18
45 69.31 74.66 5.35
50 71.73 76.89 5.16
55 73.35 78.76 5.41
60 74.78 80.48 5.70
平成2 75.92 81.90 5.98
76.38 82.58 6.47
77.01 83.59 6.58
77.19 83.82 6.63
10 77.16 84.01 6.85
11 77.10 83.99 6.89
12 77.72 84.60 6.88
13 78.07 84.93 6.86
14 78.32 85.23 6.91
15 78.36 85.33 6.97
16 78.64 85.59 6.95
注1:平成7年まで及び平成12年は完全生命表による  
2:昭和45年以前は、沖縄県を除く値である


表は約60年の平均寿命をまとめてみたものです。
明治時代から大正時代にかけては、男女とも40歳代の平均寿命でしたから、
その飛躍ぶりがわかると思います。
そして現在では、世界でも代表的な長寿国になっています。

わが国はこの60年程戦争に巻き込まれることもなく、戦死者が出ることもありません
また、医療の進歩で、命を永らえることが可能になりました。
結核のように、戦前派不治の病と恐れられていた病気も、
今ではほとんど見られることもなくなっています。
同時に乳幼児の死亡率も低くなっています。

これらの多くの要因が絡まって長寿国の称号を戴いているのです。
ただし、この平均寿命が日本人の健康を表していると
考えていいのでしょうか?
そのことに少々疑問を持たざるをえません。


長寿と引き換えに健康を捨てた現代の生活

急速な工業化とそれに伴う製品の大量生産や食生活の変化は、
私たちの生活を大きく変化させました。
さまざまな恩恵を受けながら暮らしてきた結果、
今の私たちの生活があるのです。

ただ、その一方で多くの弊害も生まれてきています。
命にかかわることがないが、新しい病気が生まれてきています。
たとえば、アトピー性皮膚炎などはその代表的な病気です。
1960年代に日本でも認識され始めた比較的新しい病気です。
高度経済成長期あたりを境にこの病気が増加し始め、
今では深刻な病気となっています。

以前は3歳以下の子どもには、
アレルギー反応は起こらないといわれていました。
それは、まだ自分の免疫が確立していないからです。
ところが今では生まれた次の日に、
全身アトピー性皮膚炎が現れる赤ちゃんがいるのです。

また、先ほど乳幼児の死亡率の低下に触れましたが、
実は、奇形児として産まれてすぐに亡くなってしまう、
あるいは流産してしまう件数が増えているのです。
先進国といわれている国の中で、
奇形児の発生が世界一多い国が日本なのです。
こうした奇形児というのは国では統計を取りませんから、
実際にはどれほどなのか数字は公表されていませんが、
一部聴いた話の中で火葬される遺体の約半数は
エナ児であるとのことです

エナ児(母親の胎内で胎児として認められた後流産や死産で正式に出生が認められていない胎児)

こうした子どもにかかわることでも、昔は考えられなかった事態が進んでいます。

大人にとっても深刻な病気、がんが非常に増えてきています。
病気で亡くなる人の3人に1人はがんが原因です。
近年、三大成人病(がん、心臓病、脳血管障害)でなくなる人が、
死因全体の6割を占めるようになっているのです。

厚生労働省から平均寿命の発表があるたび、
マスコミはさも喜ぶべきことのように取り上げますが、
こうした状況を見ると、喜ぶべきことなのか疑問です。
長く生きるのなら、健康体でというのが万人の共通の願いで、
亡くなる直前まで元気で生きるのが理想ではないのでしょうか。



成人病から生活習慣病へ

1998年12月、厚生省(現厚生労働省)は、
約40年にわたり使用していた「成人病」という呼称をやめて、
「生活習慣病」という呼称に変えました。

もともと「成人病」という呼び名は、当時の厚生省が

40歳前後から死亡率が高くなり、
善死因の中で高位を占め、
働き盛りに多い疾患


と定義したものです。
具体的には、高血圧、糖尿病、高脂血症、脳血管障害、虚血性心疾患などの
総称を示したもので、脳血管障害には脳梗塞、脳血栓、脳内出血などが含まれ、
虚血性心疾患は狭心症や心筋梗塞をさしています。

ところが近年「成人病」の発症状況に著しい変化が現れます。
それは、発症の低年齢化です。
実際若いにもかかわらず、心筋梗塞になった、
糖尿病にかかったなどの症例が増えてきたのです。
そこで、「成人病」は、食生活や運動、喫煙、アルコールといった生活習慣が
大きな影響を与えているとの判断で、「生活習慣病」としたのです。
つまり、生活習慣を変えることによって、
病気から身を守ることを奨励したのです。
この背景には、国民健康保険の国の医療費負担の増大があります。
国民負担率の引き上げは行われたばかりですが、
5割負担、7割負担という時代がじきに来るかもしれません。
最後はアメリカのように医療は自費負担になるのではないかと
多くの専門家が奇遇しています。


厚生労働省は、病気から身を守る予防策として、
栄養、運動、休養、喫煙、飲酒の5要素への注意を促し
家族ぐるみの取り組みを訴えています。
つまり、自分の健康は自分で管理しなさいと言っているのです。

日本は戦後、国民皆保険と言われるように社会保障の充実に力を注ぎました。
しかし、これからは自分で自分の健康を維持していく意識を、
向上させる必要性が高まったのでしょう。

このように、医療費の高騰や「生活習慣病」概念の浸透で、
日本もアメリカのように病気にならないようにするという
考え方が大切になってきつつあります。

アメリカでは日本のような医療制度がありません。
したがって、病気になると莫大な費用がかかることもあり、
病気にならぬように心がけるとともに、
病気になっても病院にいって治すのではなく、
サプリメントで改善するという考え方が主流になっています。
そして、アメリカではサプリメントで治療する医師も大勢います。

病気になっても軽いうちなら、
サプリメントで改善するという方法は、
今後の日本でも多くなります。

徐々にですが、日本でも自分の健康は自分で守るという考えが広がっています。
この考え方は非常に大切で、
本来、病院の治療だけでは、
病気は治らないものだということです。
今までの日本人には、あの先生に任せておけば安心だという、
医師万能のような風潮がありますが、
この考えは間違いなのです。
病院や医師や薬は病気を治してくれるものではなく、
病気を治す手伝いをしてくれるものなのです。
病気を本当に治していくのは自分の力なのです。

例えば、胃潰瘍にかかった場合に病院に行くと、
医師は、胃酸を抑える薬、胃の粘膜を守る薬を処方しますが、
胃の傷を治すのは自分自身の力によってです。

手術で切開した際に切り口を縫い合わせたときも、
切り口をくっつけているだけで
傷口を閉じさせるのは自分の力なのです。
つまり、その人の自己治癒力で回復するのです。
人間は本来こうした自己治癒力を持っています。
ですから、慢性的な生活習慣病などは、
病院だけを頼らないように心がけることが大切です。

そして大切なことは、
病気にかかる前に自分の力を100%発揮できるような
日常生活を心がけ健康維持をすることです。

医療に発達で、寝たきりなどで生きている人は、
長生きを寿ぐ=祝福する
長寿という言葉は、当てはまらないのではないでしょうか。

したがって、長寿国というより、
長命国といったほうがふさわしいかもしれません。
真の長寿国にするためにも、
予防学というものが、これからの日本には必要ではないでしょうか。