自律神経とホルモンの
バランスを整え免疫力を高める その1


交感神経と副交感神経

はじめに、神経の仕組みを簡単に説明しておきましょう。

脳と脊髄を中枢神経といい、
中枢神経と身体の各器官を連絡する神経を、
末梢神経といいます。
そして、末梢神経は、体制神経と自律神経に分けられます。
体制神経には、身体の各部位から中核へ刺激(情報)を伝える感覚神経と、
中核から各部位の骨格筋へ命令を伝える運動神経の2種類があります。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があります。

多くの器官は、交感神経と副交感神経の療法が分布しており、
内臓や血管壁の平滑筋、心筋、腺組織に作用して、筋の収縮・弛緩、
腺の分泌をコントロールしています。
自律神経は、自律的で意思とは無関係に働くとされています。

怒り、恐怖、不安などの強い感情、スポーツ時の緊張、
痛みなどのストレスにより、交感神経が刺激され、
その末端からノルアドレナリンが分泌されます。
ノルアドレナリンの働きで、心臓の拍動が増し、血圧が上昇し、
呼吸が大きく速くなり、血糖が上昇し、消化機能が抑制されます。
交感神経の刺激を受けて、
副腎髄質からもアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、
交感神経の働きが増幅されます。
この状態を、交感神経緊張状態あるいは
交感神経興奮状態と呼んでいます。

逆に、精神的にリラックスした時や休息時には、
副交感神経が刺激されて、
その末端からアセチルコリンが分泌され、
身体の諸器官が交感神経緊張状態とは反対の反応を起こします。
これが、いわゆる副交感神経緊張状態です。

 
病気と自律神経の関係

日常生活においては、
交感神経が働くのは昼間の仕事中など活発に活動しているときであり、
副交感神経が働くには夜寝ているときや食後に休息しているときなどです。
人体にとっては、交感神経と副交感神経のバランスが大変重要です。

自律神経失調症という病名は、日本ではよく使われています。
この病名は、あいまいで漠然としています。

交感神経と副交感神経の緊張と弛緩のバランスが
上手くいかないために起こる様々な症状、
例えば、動機、頭痛、肩こり、立ちくらみ、便秘や下痢、
吐き気、冷え、発汗、のぼせ、不眠などをまとめて、
自律神経失調症といいます。

はっきりと診断が出来ない病状を、自律神経失調症としてしまえばよいので、
ある意味、医師にとっては便利な病名です。

軽い段階の不調ならまだしも、
精神的・肉体的ストレスが続いたり強くなると、
いろいろな疾患に発展します。

ガン、高血圧、心臓病、精神疾患、アレルギー性疾患、
感染症、婦人科疾患、消化器疾患などは、
自律神経バランスの以上が原因でしょう。

多くの病気の原因がストレスであると主張する学者も少なくありません。
ストレスが多いと、不安や苛立ち、焦燥感、怒りなど
好ましくない心理状態から自立神経バランスが崩れ、
活性酸素が体内に増えてしまいます。

現代社会とストレス

日本人の多くは働きすぎでしょう。
当然、身体によくはないし、精神的・肉体的ストレスも受けます。
こうしてストレスは、先にあげたように病気を作り出します。

また、ストレスによる交感神経の過剰な緊張状態は、
戦争や犯罪といった社会的疾患も引き起こしていると思われます。

では、働きすぎのストレスから身を守るためには、どうすればよいか。
まず、楽しいと感じる職業が理想的です。

そして、仕事中でもリラックスできる時間も必要です。
働くべきときは集中的に働き、
休むべきときは、緩急自在に休む。

そのためには、順位の高いことからこなし、優先順位の低いことは、
やり残しでも切り捨てるという、決断力と柔軟性が必要でしょう。

フリータイムには、好きな趣味や娯楽に没頭することも、
ストレスを減らすために必要です。
気功もよし、瞑想もよし、音楽を聴くもよし、
写真集を眺めるもよし、漫才や落語を聴くもよし、
ぬるめの風呂にゆっくりつかるのもよし
飼い猫に腋の下をくすぐってもらい無理やり笑うのもいいでしょう。

こうして、各自がやりやすい方法を工夫、
編み出して試されたら良いでしょう。

家に帰ってからも残務整理をし、ご飯をかきこんで、
烏の行水をして、すぐにバタンキューでは、
ちょっとやりきれない人生ではないのでしょうか。

ストレスが多いのは、大人だけではありません。
子供心に、行きたくもない学校で、
義務教育という軍隊まがいの訓練を日々強要され、
放課後は塾や習い事などで追い詰められ、
バタンキュー人生を押し付けられ、
心身を磨耗させられているのが、
今の日本の子どもたちです。

教育産業の哀れな犠牲者としか言いようはありません。

感情や気分は免疫力に影響する

私たちの身体の免疫力は、感情が大いに関与します。
過度の怒り、不安、恐怖は交感神経が強く緊張し、
免疫力を低下させます。

逆に、副交感神経が優位になりすぎても、免疫力が落ちて、
気管支喘息などのアレルギー性疾患や
自己免疫性疾患を悪化させることになります。
繰り返しになりますが、バランスが重要なのです。
交感神経と副交感神経のバランスのためには、
軽いストレスも時には必要でしょう。
軽いストレスでの交感神経の適度な緊張を仕事や生活に取り入れて、
緩急のリズムをつけることが、
身体や脳の健康のためになるのです。

ストレスに対する適応力には、個人差があります。
また、困難な仕事をするときの緊張や軽い不安から、
どうすることも出来ない絶望的な恐怖や不安まで、
程度や種類も様々です。

強いストレスの元になるような、
否定的な感情を引きずらないためには、
悲しいときには素直に泣き、
場合によっては怒りを発散させることも必要でしょう。

また、無理をして働きすぎるのは身体によくないですが、
歳を取ってからもやりがいある仕事を続けることは、
気分にメリハリがつき、若さを保ち元気で、
病気になりにくいでしょう。

60歳で定年退職し、急に緊張感から開放されたら、
痴呆やガンになったというのは、よく聞く話です。
健康のためには生涯現役を続けたいものです。

自律神経の鍛錬

自律神経は、自律的で意思の支配を受けないと書きました。
概ね正しいですが、鍛錬することで、
自律神経を自分の意思でコントロールすることも不可能とはいえません。

例えば、陸上協議などでは、スタート直前は、
緊張が極限に達しています。
しかし多くの競技会で経験することで、
ちょっとしたことではストレスを感じなくなります。

挫折も自律神経の訓練になります。
恋にやぶれると最初はショックが大きいですが、
何度か経験するうちに、ショックが小さくなります。
受験や就職活動も、一度や二度失敗を経験したほうが
よいのかもしれませんが、
人によってはダメージが大きすぎて、
立ち直れない場合もありますから、
どなたにでもお薦めするわけにはいきませんね。

しかし、挫折を経験しているさなかに
「自分が経験しているこの挫折は、
試練であり成長できるチャンスだ」
と、前向きに考えることが出来るようになれば、
申し分ないでしょう。

感情のコントロール

意思の力で感情をコントロールすれば、
ストレスを回避することも可能です。

例えば、誰かの言動に怒りを覚えたとします。
怒りを静める方法としては、
「人は自分と同じではない」
「人の思考は変えることが出来ない」
「自分のほうだけが正しいとはいえない」
「人は人、考え方は千差万別である」
このようなことを思えば、起こるのも馬鹿らしくなります。

また、怒りや不安や焦燥感を感じたら、
深呼吸でコントロールすることも出来ます。

まず、目を閉じて姿勢を正しくし、
呼吸することに集中する。

少し息を吐いてから1、2、3、4、5と
ゆっくり数えながら鼻から大きく吸い込みます。
次いで、1、2、3、4、5、6、7と
数えながら口から吐いてゆく。

この方法で深呼吸を数分続けると、
怒りや不安などが緩和されます。