科学(化学)を学ぼう




科学的基礎知識

 

9.活性酸素の抑制

前項で活性酸素の事に触れたので、
もう少し詳しく説明する。

私たち人間は、生きるためのエネルギーを栄養素の燃焼で確保する。
血液で運ばれた栄養素が呼吸で取り込まれた酸素と反応し、
熱としてエネルギーを生み出すと理解すればよい。

人間が求める酸素は、エネルギーを生み出す燃焼に必要な酸素である。
ところが、ほんの一部であるが燃焼に使わないで
いろいろなものに反応する酸素を必要としている。
その酸素は、有害な物質やウイルスのような微生物を退治する酸素である。
この酸素は、電子(e
)を1個余分に持った酸素で、
専門的にスーパーオキシドとかヒドロキシルと呼ばれる化合物は、
こうした酸素で成り立っている。

余分な電子(e)を持つ事で、強い反応を示す事が出来る。
体内に入る有害物質やウイルスだけでなく、
体内で作られる不要物質にも反応し退治すると
受け止めてくれればよい。
こうした酸素を通常、活性酸素と呼ぶ。
そして、活性酸素によって成り立っている化合物を、
まとめてフリーラジカルと呼んでいる。

活性酸素をつけたフリーラジカルは、本来人間を守るために存在するが、
フリーラジカルは常に暴走する可能性を含んでいる。
人間の害になるものだけ反応すればいいのだが、
人間に一番必要で大切な細胞などにも反応する。

活性酸素を含むフリーラジカルが老化の原因といわれだしたのは、
この細胞に対し攻撃する事が判明したからである。
時には細胞の中の遺伝子にも反応し、
発癌性の原因にもなるともいわれている。

なぜ、活性酸素がこうなったのか調べてみると、
人間は不必要な活性酸素を分解する仕組みを持っている。
したがって、活性酸素を利用して
不要なものを消す事が出来るようになっている。

その大切な役割を担当するのが酵素である。
活性酸素を分解して除去できる代表的な酵素が三つある。
一つは、スーパーオキシドジスムターゼと呼ばれる酵素で、
略称を「SOD」と呼ばれている。
二つ目は、カタラーゼと呼ばれる控訴である。
三つ目は、グルタチオンペルオキシターゼと呼ばれ、
略称を「GPO」という。

こうした活性酸素を分解する酵素以外に、
人間の体内にはスカベンジャーと呼ばれる物質が存在する。
このスカベンジャーには、
ビタミンE,ビタミンA(ベーターカロチン)、ビタミンCなどが含まれている。
さらに活性酸素に対抗できる物質も見つかってきた。
カコテールやポリフェノールといわれる物質である。


ところが近年、急に活性酸素の問題が取り上げられだした。
理由は大きく二つ存在すると思う。

一般には、活性酸素を分解する酵素を、抗酸化酵素と呼んでいるが、
この抗酸化酵素の分泌が年齢により急激に減ってくる事が分かった。
一部の報告では、
20歳代では約95%の活性酸素を分解する。
50歳代になると50%の分解率になり、
70歳代では10%程度しか分解されていないという。
人間は50代ごろから急に老化が進み、
人によっては活性酸素が分解されなくなって、
一生を終えてしまうという見解まで出てきた。

二つ目は、現代人の食生活の問題が指摘される。
抗酸化酵素の代表的な存在であるSODやGPOには
マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレンなどのミネラル元素が必要である。
ところが現代人の食生活が、
ミネラル元素よりカロリーと美食を求めるようになってしまった。
結果、ミネラル不足が活性酸素を暴れさせている。

さらに、ビタミンの問題も指摘される。
活性酸素は、細胞の脂肪分の電子(e
)を奪い、細胞膜を破壊する。
そのとき、ビタミンEは活性酸素に電子(e)を与え、
「人間の細胞を破壊しないように」とストップをかける。
このビタミンEをサポートするのが、ビタミンAである。
ビタミンAは、ビタミンEに電子(e)を与え
「頑張って〜〜」と応援団の役をする。
さらにサポーターとして、ビタミンAに電子(e)をトスするのが、
ビタミンCである。

人間の生命活動の仕組みは実に複雑で、しかも綿密に成り立っている。


現代人の活性酸素問題は、大変大きな問題である。
カロリー重視と美食生活は、ビタミン不足、ミネラル不足につながる。
このことは活性酸素の暴走を放置する事になる。
年齢と共に活性酸素の分解酵素が減少するなら、
逆に、年齢と共にビタミン、ミネラルを取り入れる必要がある。

活性酸素の過剰反応を抑えて、老化の進行を遅らすには、
限られてピンポイントの対応では解決ができない。
ビタミン、ミネラルを総合的に摂りいれ、
バランスの取れた食生活が必要である。

人間が必要な酵素はタンパク質が中心で、
タンパク質はアミノ酸からできているからである。
活性酸素の暴走を抑制する酵素の活動は、
ビタミン、ミネラル、アミノ酸の総合作用によって成り立つのである。

参考までに私たちが求めている
最小限のビタミン、ミネラル、アミノ酸の種類を表にする。

活性酸素の問題は、こうしたトータル的な対応をしていかなければ、
解決はしないであろう。
ただ、ミネラルに関しては、学問上の論議が続き、定説は今もない。
そこで表は最小限の種類にしてある。
というのは60種類以上必要との説や
38種類とする説など意見が分かれているからである。

「絶対必要です」ということを表現するため、
「必須」という言葉が使われる。

必須アミノ酸は8種類とされ世界共通認識である。
ところが、必須ミネラルは18種類(アメリカ)という考え方、
16種類(日本)でよいとする考え方など、一定ではない。



ビタミン類 
(13種類)
  ミネラル類 (必須16種類)   アミノ酸類 (20種類、必須8種類★印)
元素名 記号 元素名 記号
ビタミンA ナトリウム Na ★イソロイシン 6132
ビタミンB1 マグネシウム Mg ★ロイシン 6132
ビタミンB2 カリウム ★リジン 61422
ビタミンB6 カルシウム Ca ★メチオニン 5112NS
ビタミンB12 リン   シスチン 372NS
ナイアシン ビタミンB群 イオウ ★フェニルアラニン 9112
パントテン酸 塩素 Cl   チロシン 9113
ビオチン Fa ★スレオニン 493
葉酸 マンガン Mn ★トリプトファン 111222
ビタミンC クロム Cr ★バリン 4112
ビタミンD コバルト Co   アルギニン 61424
ビタミンE Cv   ヒスチジン 6923
ビタミンK 亜鉛 Zn   アラニン 372
セレン Se   プロリン 582
モリブデン Mo   セリン 373
ヨウ素   グリシン 252
  アスパラギン酸 474
  アスパラギン 4832
  グルタミン酸 594
  グルタミン 51032

こうして一覧表にすると、人間はいかに多種類の物質で、
生命活性を維持してるかが分かる。

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