■ 花粉症の予防見解 ■
 
 厚生労働省の花粉症に対する見解
 
花粉症Q&A集(平成18年花粉症対策用)
地方自治体向け
【総論】
Q1.
花粉症の正体って一体なんですか。
A:
花粉症の正体は、花粉に対して人間の体が起こす異物反応です。体の免疫反応が、花粉に過剰に反応して花粉症の症状がでるのです。
Q2.
花粉が鼻や目にはいると、どうして花粉症の症状がでるのですか。
A:
体が花粉を外に出そうとするために、「くしゃみ」で吹き飛ばしたり、「鼻水」「涙」で花粉を洗い流そうとしているのです。
Q3.
どんな花粉がいつ飛んでいるのですか。
A:
関東地方では、2月から4月はスギ花粉、4月から5月はヒノキ花粉、6月から8月はイネ科花粉、8月から10月はブタクサ花粉が主として飛散しますが、地域によって飛散する花粉や時期が異なります。
Q4.
スギ花粉症は日本にしかないのですか。
A:
スギは日本特有の木です。スギは中国の一部にもありますが、その数は日本と比べると少なく、スギ花粉症が問題となっているのは、ほとんど日本だけだと考えてよいでしょう。
Q5.
花粉飛散量は年々増えているのですか。
A:
スギ花粉の飛散量は年によって大きく変動しますが、近年、戦後に植えられたスギの木が大きく成長し、潜在的な花粉生産能力が高い状態になっています。また、気象の温暖化の影響で花粉は多く産生されるようになっているとも言われています。
スギ花粉飛散を減少させる方策として、花粉の多い木の抜き伐りや花粉の少ないスギへの品種改良の取り組みが行われています。
Q6.
花粉症の患者さんはどのくらいいるのですか。
A:
いろいろな研究から、日本における花粉症の人は30〜50歳代に多く、日本の人口の約16%(1998年の推計)だと考えられています。その後も花粉症の人は増加していると考えられますが、どの程度増加しているのかは分っていません。また、増加している原因は、花粉症飛散数が増加していることに加えて、いろいろな環境の変化の影響も考えられていますが、十分に確認はされていません。
Q7.
花粉症と間違えやすい疾患は何ですか
A:
花粉症は季節的にも風邪の流行する時期に重なります。このため、発症の初期ではくしゃみ、鼻水が症状として同じことがあります。また急に悪化した他の鼻疾患たとえば慢性副鼻腔炎(蓄膿症)などとの鑑別が必要になります。
Q8.
小児花粉症は増加したと言われますが、有病率はどの程度ですか。
A:
全国を対象にした疫学調査が2002年に行われ、15歳以下の小児の花粉症は10.2%で、0-2歳が0%、3歳から5歳が4.5%、6歳から9歳が10.5%、10歳から12歳が12.1%、13歳から15歳が15.1%でした。増加していると考えられています。
Q9.
花粉症があると口の中が痒くなることがあるといわれたのですが、本当ですか。
A:
口腔アレルギー症候群といわれ、別名、果実野菜過敏症とも言われています。その名前のとおりある種の果物や野菜を食べると口の中が痒くなるのです。多くはシラカバ花粉症の方に頻度が多いのですが、他のイネ科花粉症やスギ花粉症でも報告されています。最も多い果物はリンゴです。
【花粉症の予防】
Q10.
花粉症になりやすい人はいるのですか。
A:
花粉症以外のアレルギー疾患をもっている方や、家族の方が何らかのアレルギー疾患を持っている人は、それのない人に比べて、花粉症になりやすいと考えられています。
Q11.
今は花粉症ではないのですが、今後花粉症にならないためにはどうすればよいのですか。
A:
大量の花粉に出会うと、体が花粉に対する抗体を産生する可能性が高くなります。スギに対する抗体をたくさん産生すると、何らかのきっかけでスギ花粉症を発症しやすくなります。また、これまで軽症で花粉症であることに気がつかなかった方も、花粉を鼻からたくさん吸い込んだり、目に入ったりすると、花粉症の症状が強くなります。花粉になるべく接しないことは重要なことです。
1.マスクは効果がありますか。
マスクは、花粉の飛散の多いときには吸い込む花粉をおよそ3分の1から6分の1に減らし、鼻の症状を少なくさせる効果があります。
また、花粉症でない方も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になる可能性を低くすることが期待されます。
2.うがいは効果がありますか。いつ行うのがいいですか。
鼻の粘膜には線毛があり、粘膜の上の異物を輸送します。うがいは、のどに流れた花粉を除去するのに効果があります。
外出から帰ってきたら、かぜの予防にもなりますので、うがいをしましょう。
3.洗顔は効果がありますか。いつ行うのがいいですか。
花粉が人間に付着しやすいのは表面に出ている頭と顔です。外出から帰ってきたら洗顔して花粉を落とすと良いでしょう。
4.洋服の服地はどのようなものがいいのですか。
洋服に花粉がついてしまうので、花粉飛散している時の外出時には毛織物による上着やコートは避けたほうが良いでしょう。表面がすべすべした綿かポリエステルなどの化学繊維のものには花粉が付着しにくく、付着した花粉を吸い込む量を減らすことが期待されます。
5.めがねは効果がありますか。
メガネは花粉の飛散の多いときには、目に入る花粉を2分の1から3分の1まで減らすことができるので、眼の症状を少なくさせる効果があります。
6.その他予防方法を教えてください。
花粉が人間に付着しやすいのは表面に出ている頭と顔です。頭の花粉は、帽子などで避けることが可能です。
【花粉症の症状がでたら】
Q12.
花粉症の診断はどうやってするのですか。
A:
花粉症の診断の多くは、花粉飛散時の症状の有無と血液中にある花粉に対する抗体の存在で診断されます。さらに、耳鼻咽喉科では鼻の粘膜を直接みて、アレルギーの反応を観察します。
Q13.
早く治療すると、どのようなメリットがあるのですか。
A:
花粉症の症状が起こりはじめたごく初期では、鼻粘膜にまだ炎症が進んでおらず、この時期に治療を開始すると粘膜の炎症の進行を止め、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができます。
Q14.
花粉症の症状がでたらどの病院に行けばいいですか。
A:
ひどい鼻の症状がある場合は耳鼻咽喉科、目の症状がひどい場合は眼科をおすすめします。内科、小児科、アレルギー科などでも診療が受けられます。
Q15.
花粉症がひどくならないためには、普段の生活の中で何に注意すればいいですか。
A:
一般的な注意事項として、睡眠を良くとること、生活習慣を保つことは、正常な免疫機能を保つために重要です。風邪をひかないこと、お酒の飲みすぎに気をつけること、タバコを控えることも鼻の粘膜を正常に保つために重要です。
Q16.
花粉症の人がかかりやすい病気はありますか。
A:
花粉症はアレルギーの病気なので、同じアレルギーである喘息や通年性のアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などになりやすいと考えられています。
Q17.
花粉の季節でなくても花粉症の症状がでることがありますか。
A:
スギ・ヒノキ花粉症では2月から5月以外に10月から11月にごく少量の飛散があって軽い症状が出ることがあります。イネ科の花粉症は6月から8月、ブタクサの花粉症では8月から10月に症状が出ますが、そのほかの季節で鼻の症状が出るときには花粉症以外の鼻炎も考えられます。
Q18.
花粉症に効くといわれているものの効果を教えてください。
A:
花粉症関連グッズはマスク、メガネのほか様々なものが出されていますが、実際に花粉症の症状を良くするというデータは、充分にないのが現状です。
1.お茶は効果がありますか。
甜茶ポリフェノールはアレルギーで生じるヒスタミンの作用を和らげる効果があると言われますが、実際の患者さんでの効果は不明です。
2.ヨーグルトは効果がありますか。
腸内細菌を変化させると体内の環境がアレルギーを抑えるようになると考えられています。しかし、ヨーグルトを毎日食べるブルガリアの人でもアレルギーの病気はありますので、花粉症を完全に治すことは難しいかもしれません。
3.鼻の穴に塗るクリームは効果がありますか。
鼻の穴に塗るクリームには薬効成分は入っていませんので、花粉症自体を治す効果はありません。しかし、花粉が粘膜にくっつく前に、クリームがブロックする効果はあると考えられます。
4.衣類の静電気防止スプレーは効果がありますか。
毛織物以外の衣類にはほとんど花粉がつきませんが、例えば毛皮のコートなどにスプレーをすることは効果が期待されます。
【花粉症の治療について】
Q19.
花粉症にはどんな治療法がありますか。
A:
花粉症の治療には、医療機関で行う薬物療法、手術治療、減感作療法があります。しかし、治療を行うことと平行して、自らが花粉の暴露から身を守ることが前提となることはいうまでもありません。
Q20.
花粉症の治療にはどのくらいお金がかかりますか。
A:
3割負担の方の場合は、初診で検査を行うには6000円がかかります(ただし、特定機能病院の場合は、さらに加算があります)。さらに次の診療からは、毎回再診料などがあり、薬剤(経口薬、点鼻薬、点眼薬など)を2ヶ月使用し、それでワンシーズン6000円程度になります。つまり、その方の重症度により異なりますが、初めての年ではトータルで12000円から17000円程度、次の年からは(再診扱いで追加検査を行わない場合)7000円から12000円程度の負担になります。
Q21.
花粉症の薬の副作用を防ぐにはどうすればいいですか。
A:
自分がどのような薬剤でどのような副作用を生じるかは前もって分ることは難しいと考えますが、ご自身の症状、生活様式、職業なども先生にお話しし、なるべく副作用のない薬剤を選択してもらうようにしましょう。
Q22.
花粉症は完治できるのですか。
A:
現在、完治の可能な治療法は減感作療法だけです。しかし、現在の治療法では、完治する率は決して高くありませんし、また副作用の問題や治療に長い期間がかかるため、現在も新しい減感作療法の研究が進められています。
Q23.
新しい花粉症の薬は研究されていますか。
A:
細胞の中の情報伝達などをコントロールする薬剤などの研究や、アレルギーの原因となる蛋白に対する抗体等が花粉症治療に応用できるか、といった新しい治療法の研究が進められています。
Q24.
花粉症の治療で舌下免疫療法というのを聞くのですが、どんな治療法ですか。
A:
通常の医療で行われていた免疫療法、いわゆる減感作療法は皮膚への注射により原因の抗原エキスを体内へ入れます。この舌下免疫療法は口の中で舌の下、舌下に抗原エキスを入れて、花粉症の症状を根本から少なくさせようとする根本的治療法です。現在、厚生労働省の研究班で医師主導の臨床試験が行われています。
監修:日本医科大学耳鼻咽喉科 大久保 公裕
作成協力:国立病院機構相模原病院 秋山 一男
千葉大学耳鼻咽喉科 岡本 美孝