■ シックハウス症候群とは?

シックハウス症候群は、新築したばかりの家や、リフォームしたばかりの家、また職場が新しいビルに引越したとたん、室内に入ると気分が悪くなる、だるい、のどや鼻の奥が痛い、目がチカチカする、咳がでるなどの症状が出て、体の調子が悪くなる比較的新しい症状です。しかし、シックハウス症候群もアレルギーの一種であり、家族のなかでも主婦や幼児に起こる確率が多く、家にいる時間が長いこと、体質的に抵抗力が弱いことなどがあげられます。
シックハウス症候群 名前の由来

「シック」は英語で症状(病気)、「ハウス」は家という意味です。「症候群」は英語ではシンドロームといいますが、心や体にいくつかの異常症状が見られても、その原因がはっきりしなかったり、複数の原因が考えられるときに、仮の病名としてつけられる名前です。
つまりシックハウス症候群とは「家(住居)が原因となっていろいろな症状があらわれること」です。
日本では「シックハウス症候群」、アメリカでは

日本では「シックハウス症候群」といっていますが、この病気は、もともとアメリカのビルの中でおきたので、アメリカでは「シックビル(ビルディング)症候群」とよばれていました。日本では早くからビルの室内空気を管理する法律があったので、あまりこのような問題がおこってきませんでした。しかし、日本の住宅も省エネ対策が進み、気密性や断熱性を高めった結果、一般の家庭から健康を害したという報告が増えたため、「シックビル」ではなく「シックハウス」症候群として社会問題になってきています。
シックハウス症候群の症状は?
WHO(世界保健機関)ではつぎのような症状をあげています。
@目や鼻の粘膜、のどの粘膜がチクチクする。
Aくちびるなどの粘膜が乾燥する。
B皮膚に紅斑(こうはん)、じんましん、しっしんがでる。
C疲れやすい。
D頭痛がしたり、気道の病気に感染しやすい。
E息がつまる感じや、気道がぜいぜい音を出す。
Fいろいろな刺激に過敏に反応する。
Gめまいやはきけ、おうとをくり返す。
このような症状がひとつ、またはふたつ以上あらわれる状態ををシックハウス(シックビル)症候群といっています。
シックハウス症候群と化学物質過敏症の違いは?

ある建物の中にいるときだけにのどの刺激、痛みや頭痛、集中力困難などといった症状が出るのがシックハウス(シックビルディング)症候群ですが、その後の生活で、たばこの煙り、香水のにおいや排気ガスなど、空気が汚れているところで決まって体調が悪くなるとか、室内ではないのに体調が悪くなる(症状が悪化する)ことがあったりアレルギーが出てくる場合があります。化学物質過敏症とは、体内の免疫力の低下が原因で一度に大量の化学物質に接したり、少しずつ長期に特定の化学物質にさらされると、あるときから体が過剰に反応するようになることです。
普通の生活が送れなくなるほど、恐ろしい症状です。
ギリギリ一杯に入れたコップの水とおなじ!−化学物質過敏症−

たとえば、人の体をコップに置き換えてみてください。ギリギリ一杯に入れたコップの水には、もう、ほんの一滴の水も入りません。入れれば漏れてしまいますよね。化学物質過敏症というのは、この状態によく似ています。化学物質に対する許容量がもう残っていないから、ほんの少しも受け入れることができないわけです。 このコップの大きさには個人差があるため、同じ環境にいても症状が出る人と出ない人がいます。今は平気でも、しわじわと体に蓄積され、やがて様々な症状を発症します。その症状が進んでひどくなると化学物質過敏症になってしまうのです。
シックハウス症候群の原因は?

わたしたちはたくさんの人工の化学物質に囲まれて暮らしています。家の中には、家の壁や床に使われている材料や、塗料、接着剤などに含まれている化学物質や有機溶剤があります。食器棚やタンス、カーペット、畳、洗剤、化粧品、洋服などにも化学物質が含まれています。それらの化学物質の中で、家の中、とくに部屋の中に気体や微粒子となってただよっている化学物質が、シックハウス症候群の原因といわれているものです。
日本の家の作り方の変化、燃料やエネルギーの変化が関係?

ではなぜ日本でいま、シックハウス症候群で多くの人が苦しんでいるのでしょうか。それには日本の家の作り方の変化、燃料やエネルギーの変化などが関係しています。

家を作る建材などに使用されている化学物質や薬剤は、はじめから人間に害を加えようとして使われたわけではありません。材料の強度を増したり、虫をよせつけないようにするために使われているのです。それが気体になって、呼吸をとおして人間の体の中にとりこまれ、問題をおこしています。しかも化学物質の量はごくごくわずかで、いままでなら問題にならないと思われていたのです。また省エネ対策のため、家にはアルミサッシや断熱材などが使われ、気密性が高まりました。その結果、部屋などのすき間がなくなり、空気の出入りが十分ではなくなり、部屋の中に化学物質が充満しているわけです。

※人は一日に約20kgの空気を取り込みます。そして肝臓を通って解毒される食物と異なり、肺から吸収された化学物質は直接血液に溶け込みます。そして体の中を走り回り、中枢神経系にまで到達します。また一部はのどや気管などの粘膜に直接触れて、非常に刺激します。さらに嗅神経を伝わり、直接脳まで流れていきます。

シックハウス症候群の原因と考えられる化学物質
●ホルムアルデヒド

シックハウス症候群の問題でまずとりあげられるのが、ホルムアルデヒドという化学物質です。生物の標本などを保存するために使われるホルマリンはホルムアルデヒドを水にとかした水溶液です。ホルムアルデヒドは、建築材料の合板や、壁紙、フローリング(床)、家具の接着剤などに使われています。皮膚や粘膜に対する刺激作用が強くて、呼吸器の障害をおこすほか、中枢神経障害の原因になったり、発ガン性があるともいわれています。ホルムアルデヒドは室温では気体で存在し、呼吸によって人の体に入ってしまうのです。
●トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼンなど

独特のにおいがあるので芳香族(ほうこうぞく)と呼ばれています。化学の授業で習ったことを思い出す人も多いと思いますが、六角形の化学記号で表されます。塗料用溶剤、樹脂やワックスの溶剤などに多く使われています。はきけ、頭痛、めまいなどの症状の原因となります。ベンゼンには発ガン性もあります。
●可塑剤(かそざい)

プラスチック類、とくに塩化ビニールに多量に使われています。沸点が高いものは粒子状になって空気中にただよっていると考えられます。
化学物質はどうやって室内空気中にでてくるのか?
1. 部屋の壁に使われている合板の接着剤の中のホルムアルデヒドや有機溶剤が蒸発します。
2. 木材に使われている防カビ・防虫剤が蒸発したり、こすり合わされたりして微粒子が出てきます。
3. 壁用のビニールクロスや壁紙を貼るときに使われた接着剤が蒸発します。
4. 表面処理剤をコーティングされたり、ペンキやラッカーが家具に塗られ、そこから有機溶剤が蒸発します。
5. 床下や畳に使われた防虫・殺虫剤が蒸発します。
6. クッションフロアに使われている可塑剤(プラスチックなどに柔軟性をあたえ、加工しやすくするために加えるもの)が微粒子になって出てきます。
7. フローリングが合板の場合、床暖房時にホルムアルデヒドなどが暖められ揮発します。
8. 水まわりでは塩化ビニール管に使用されている接着剤から揮発します。
9. 押入・クローゼットは居室外扱いのため、布団や衣服への移染が懸念されます。
− シックハウス症候群対策  -
新築・リフォーム時には!

シックハウス症候群対策の為には住宅を建築するときに化学物質をなるべく使わないようにすればよいのですが、通常コストが高くついてしまいます。そこで土台・柱・梁(はり)などの構造材にまずお金をかけます。つぎに面積の広い壁や床、天井などから優先して、化学物質を使わない材料にします。広い面積をしめる内装材を安全なものにすることで、かなりの種類と量の化学物質を減らすことができます。
※優先すべき部屋として真っ先にあげられるのは寝室です。子ども部屋でお子さんが寝起きする場合は、できるだけ自然素材を使うようにして下さい。
自分の目でたしかめる

建築材料の規格表示区分からホルムアルデヒドの発散量の少ないものを選びます。パンフレットやサンプル帳をながめるだけで終わらせず、積極的に実物にふれたり、可能な範囲でモデルハウスなど、その建材でつくった建物の見学に出かけることも大切です。そこで、目がチカチカしたり不快にならないかたしかめます。
じょうずな換気のしかた

新築やリフォーム当初は、室内の化学物質の発散が多いので、しばらくの間は、換気や通風を十分行うように心がけます。これまで、換気については、部屋の中の空気が完全にかき回されて均一の状態になると思われ、換気の回数で効果をあらわしていました。しかし、窓をあけたり、換気扇をまわしたりするだけでは室内に汚染物質のたまる場所があり、十分ではないことがわかりました。そこでシックハウス症候群対策には扇風機などで部屋の空気を十分にかきまぜながら換気を行います。
ベイクアウトは、塗料に効果

化学物質には、温度が上がると揮発量が増えるという性質があります。ベイクアウト(加熱法)はそれを利用した手法で、塗料を多く使うアメリカで開発されました。暖房器具などで部屋の温度を30〜40度程度に温め、窓を閉め切って、ときどき換気をして、室内の空気を入れ替えながら3日かけて化学物質を蒸し出します。こうして強制的に有害な化学物質を発散させて追い出します。このベイクアウトに効果があるのは塗料の場合で、合板やビニールクロスから発生するホルムアルデヒドにはほとんど効果がありません。塗料のように表面に薄く使うものはこの方法でとんでしまうのですが、合板のホルムアルデヒドは、建築内部の接着剤として何層もの厚みをもっているため、長い時間をかけていつまでも出てきます。さらにビニールクロスはビニール自体が化学物質のかたまりであるため、存在するかぎり、揮発がつづきます。注意を要する点は、発散させた化学物質が他の建材に吸着され、新たな発生源となる可能性があることです。また、温度を上げすぎることで内装材がはがれたり、建具がそったりすることがあります。
毎日そうじをしているのに?

毎日そうじをしていても家の中にはたくさんのゴミが落ちています。朝日がさしこむ部屋では空気中に微粒子が、こんなに多いものかとおどろくほどキラキラ光って浮遊しているのを見たことがあるでしょう。室内空気のハウスダストにはホコリや衣類からの繊維クズ、ダニ、ダニのフン、死がい、ペットの毛やシラミ、フケ、花粉から、ウイルス、細菌、カビまでふくまれ、いろいろなものがアレルギーの原因になっています。またシックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドなども揮発しています。エアコンの省エネルギー運転の関係から窓、扉を閉め切るので、密閉率は高まり、その結果として空気の浄化が必要になってきています。
生活上のシックハウス症候群チェックポイントと対策
24時間換気システムのスイッチは切らずに、つねに運転するようにします。
とくにに夏は化学物質の発散が増えるので室内がいちじるしく高温多湿となる場合(温度28℃、相対湿度50%超が目安)には窓を閉め切らないようにします。
窓をあけて換気する場合には、複数の窓をあけて、汚染空気を排出するとともに新鮮な空気を室内に入れるようにします。
換気設備はフィルターの清掃など定期的に維持管理します。
室内空気中の化学物質を除去するために、空気清浄機を利用することが有効である場合があります。
化学物質を観葉植物、炭、各種吸着シートなどに吸着させたりする方法もあります。これらの方法については、その効果がさらに検討されており、より効果の高い研究開発もまたれます。
運動をしたり、お風呂につかって汗をかくと新陳代謝(しんちんたいしゃ)が活発となり、汗といっしょに体内の化学物質が排除されます。あまり熱いお湯より、38度くらいのぬるめの湯にじっくりとつかるのがよいでしょう。
亜鉛、銅、セレン、ナトリウム、カリウムなど、必須ミネラルが不足している場合がありますので、食生活を改善し、ミネラルバランスを整えます。
シックハウス症候群対策の為に室内の空気をきれいに保つ方法としては、室内にきれいな空気を取り入れる、室内で発生する汚染を防止する、そして室内の汚染を浄化するなどの方法が考えられます。生活上において、できることからはじめてください。