もっと知りたい経皮吸収の毒


■皮膚から身体に入る経皮吸収の毒 その1

 


有害化学物質はこうして生まれた


《石油から生まれた有害な合成化学物質》

私たちの身のまわりは、合成化学物質を含むプラスチック、合成洗剤、
家庭用洗剤、化粧品などの日用品があふれています。

合成化学物質とは、科学的に分子構造を組み替えて合成したもので、
自然界にはない物質です。

きっかけは、1920年代アメリカで石油精製の時に出る廃ガスから
イソプロピルアルコールという合成化学物質が
つくられるようになったことでした。

合成化学物質は、安価で使いやすく、使い捨てに向いていたため、
またたく間に、時代の寵児になりました。
そして、合成化学物質で出来た日用品は、どんどん増え続け、
21世紀には、2800万種類を数えるまでになりました。

しかし恐ろしいことには、そうして作り続けられて市場にあふれだした
日用品の主成分となる合成化学物質の中に、
有害化学物質が含まれていたのです。

しかし、されを危険視する人の声も、黙殺されてきました。

たしかに合成化学物質の全てが
「有害で人体に悪影響を及ぼす」といったわけではありません。
少量なら体内に吸収されても、
すぐに影響は出ないでしょう。
しかし、長年使用し続けて体内に蓄積された場合、
病気を引き起こす主な原因となって影響していることはたしかです。

いま現在、有害性が科学的に証明されていないからといって、
安全だという保証はどこにもありません。


《有害合成化学物質の危険性に気付くのが遅すぎた》

日用品として家庭に入り込んできた有害化学物質は、
驚くほどに多いことを多くの人はいまだに気付いていない。

日々進歩し続け、合成ゴム、ナイロン、ポリエステル、
ビニロン、ポリプロピレンなどの合成繊維、合成界面活性剤、
殺虫剤、農薬などさまざまな用途に応用されるようになりました。

現在、有害化学物質を含む製品は、自動車部品、台所用品、
子どもたちの文具やおもちゃ、衣類、化粧品、シャンプー、洗剤など
ありとあらゆる分野にまで広がり、
大量生産、大量消費され、世の中に広く深く根付いてしまいました。
これは、安全よりも経済が優先されてきたためです。

しかし、気付いたときすでに遅すぎたのです。
有害きわまりない物質の農薬が空中散布されたり、
家庭用洗剤やシャンプーに利用されたりするようになっていました。
「少量なら人体に影響はない」との理由で、
有害化学物質が、乱暴な使われ方をするまでになっていました。




《世界に訴えた環境破壊》

1962年に女性海洋学者レイチェル・カーソンが書いた
警世の名著 「沈黙の春」 が発売され世界を震撼させました。

この本は、合成化学物質がどれほど有害かという
実態を赤裸々に告発するものでした。
「殺虫剤などの農薬がひき起こす死の連鎖の恐ろしさ」を
的確に解き明かしていましたが、当時のアメリカ社会
とくに合成化学物質で莫大な利益を得ている企業は、
この声を抹殺しようとしました。

唯一、カールソンを支援したのが、
当時のアメリカ大統領 J・F・ケネディ です。
ケネディは大統領直属の化学諮問委員会を作って調査させ、
「カールソンの主張は正しい」として、
農薬使用を制限する法律を作ろうとしますが、
残念なことにケネディは、それからまもなく凶弾に倒れてしまいます。
「巨大資本による謀殺説」が、
まことしやかに囁かれていたのには、そうした背景がありました。

一方、「沈黙の春」は、日本でも翻訳されましたが、
政府も国民も取り越し苦労として捕らえていました。
その結果、日本でも自然の美しさが年々失われ、
カールソンの指摘した、
「化学薬品にまみれた世界」 に、
歯止めがかからなくなっていったのです。

それからまもなく日本でも、アトピー性皮膚炎、
アレルギー性鼻炎(花粉症)、気管支喘息、
小児喘息、じんま診など、原因不明の症状が、
年々増え続けたのです。

これら症状は、それまでほとんどなかったもので、
こうした原因不明の症状に深くかかわるものは、
石油から作られる「有害化学物質」なのです。




有害化学物質はこうして身体に入る


《食べ物や飲み物から口に入る「経口吸収」》

アレルギー症状などをひき起こす、有害化学物質が人体に侵入する経路は主に3つあります。

そのひとつは、口から入る「経口吸収」、
二つ目は、空気を吸い込み肺から吸収される「吸入」、
三つ目は、皮膚に触れると吸収される「経皮吸収」です。
ただし、この三つ目には、口腔内の粘膜から吸収される
「粘膜吸収」というルートも含まれます。

食べ物や飲み物を口にするときに吸収される「経口吸収」では、
問題の多い食品添加物はじめ、野菜などに付着、蓄積された農薬なども
当然、口から入ります。
しかし、人体は長い進化の中で、自然界にある毒物や、腐敗したものは、
口から入れないための、防御本能を身につけてきました。
それが五感です。



人は食べ物を前にしたとき、色や形、臭いなどを、
五感を使って安全かどうか確認します。
口に入れてからも、味や食感でさらに安全を確認しています。
その上、いったん喉を通ったものでも、胃腸で異常を感じれば、
吐き戻したり、下痢をしたりという手段で毒性を拒もうとします。

それでも口から入り消化器で吸収されてしまった毒性は、
肝臓に運ばれ、代謝酵素により分解され、解毒されます。
肝臓はそうして毒性から身体を守っているのです。
ただし、肝臓が解毒できるのは、約9割強です。
残りの1割弱は、血液循環にまわり、臓器や器官に蓄積されます。
たとえ少量でも、毎日蓄積し続ければ、見逃せない量になり、
ある日突然、何らかの病気となって現れる危険性があります。


《空気と一緒に肺に侵入する「吸入」》

呼吸と共に直接、肺に吸収されるのが「吸入」です。
この吸入で肺に入った毒性は、すぐに血液に溶け込み、
体内を循環しながら、あちこちに吸収されてゆきます。
体内に直接吸収されるため、肝臓での解毒作用は受けず、
毒性が取り除かれることはありません。


この吸入による危険性で、問題視されているのが、
ダイオキシン、アスベスト、シックハウス症候群などです。

ダイオキシンは、身体を壊す「環境ホルモン」という有害化学物質です。
プラスチックなどや生ごみなどに添加されている、
合成化学物質を焼却するときに発生したり、
自動車の排気ガスに含まれていたりします。
発がん性を持ち、強い毒性がある物質です。

アスベストは、建築資材や自動車や電化製品などに用いられる石綿です。
線維が細かく、人の肺に吸収されやすい危険な物質です。
肺に吸収されると、20年〜40年ほど潜伏した後、
肺がんや中皮腫(腫瘍の一種)をひき起こします。

シックハウス症候群は、有害化学物質を含む
新建材や内装材、塗装材などから出る成分で室内の空気が汚染され、
空気を吸うことで、頭痛や吐き気、動悸などの症状が表れます。
発がん性があり、神経が侵され、子どもの生殖器障害を起こしたりもします。


《気付かないで皮膚や粘膜からしみこむ「経皮吸収毒性」》

痛めた腰に湿布薬を塗ったり貼ったりする、
虫刺されにかゆみ止めを塗るなど、
薬効成分が皮膚から吸収されるのが「経皮吸収」です。
しかし、薬効成分は化学物質です。
すなわち、化学物質は「経皮吸収」が可能なのです。
では、同じように有害な化学物質はどうなりますか?
化学物質である以上それも吸収されてしまいます。

現在、日常的に使われている
台所洗剤、シャンプー、リンス、ボディーシャンプー、
入浴剤、化粧品、ローション、歯磨き粉などに含まれる成分も、
化学物質が主成分であったり、添加されたりしています。
これらは直接肌に触れれば、「経皮吸収」「粘膜吸収」されてしまいます。
「粘膜吸収」は、口や肛門や性器などから吸収されるものです。


身の回りのある効した合成化学品は、生活を便利にしてくれましたが、
「人体に害を及ぼす」有害な化学物質や
複合使用で有害成分に化学変化してしまうような物質が多く含まれています。

こうした経皮吸収や粘膜吸収で身体に取り込まれる有害化学物質は、
余り問題にされていませんでした。
それは、「ごく少量」との理由で見過ごされてきていたのです。

そして、この経皮吸収や粘膜吸収は、直接血液循環に入る可能性が高く、
薬9割強は体内に残るといわれています。

ごく少量でも毎日の蓄積は大きく、
近年の病気の発生率の上昇が物語っています。
とくに難病、奇病として原因不明といわれる病気が多い原因のひとつでしょう。

これらの有害化学物質が皮膚から吸収されることが、

「経皮吸収毒性」です。

とくに注意を要する、病気の最大の原因なのです。