新しい歴史の創造               


 ▼青少年の脳機能と障害▼

先天性とは何か


週間ポスト」の記事で気になったことがある。
それは、
「先天的な機能障害」
と表現されていた部分である。

この先天的という言葉は、日常生活でよく使われる。
昔は「産まれながらにして」と表現していた。
専門的には、
先天的とは生まれる前のことを現す。
先天的、産まれながらと聞くと、
「すべて遺伝的」とか「どうにもならない」という
イメージを持つ恐れがある。

私たち人間は、一個の卵細胞からスタートする。
静止と合体して受精するとき、
遺伝子障害を持つ事がある。
自然の成り行きで、不十分な受精が発生する可能性が存在する。
こうした場合、先天的と表現は出来る。

やがて、胚と呼ばれる部分ができる。
これは将来、脳や心臓など、
人間の各器官に発達するベースとなる。

もしこのときに外部から侵入した化学物質によって
胚の一部が破壊されたときは、
その後の各器官の発達に障害が発生することになる。

サリドマイド児のように、
卵の細胞分裂から1,2ヵ月後に、
障害となる決定的なダメージを受けた事件があった。
この場合はどう表現するのか。

難産で、産道に長時間存在したため、
脳性まひ障害を持つ事がある。

たしかに、これらの例も専門的には先天的といわれるが、
人為的と表現したほうが本質を理解できるのではないかと思う。

あえて具体的な例を挙げたのは、
先天的という言葉によって、
物事の本質をぼかしてしまうことがあると
気になっているからである。

「週間ポスト」の記事が誤った表現をしているとは思わない。
しかし、補導され審判を受けた少年の脳が
「先天的な機能障害」をもっているという事を、
「遺伝的な機能障害」と誤って認識する人が
存在するのではないかと心配になる。

なぜなら、こうした脳障害の一部は、
人工的な化学物質によって
発生する可能性が多分にあるからなのだ。


再度見てほしい。


私たち人間は
一個の卵細胞から
約38週間で出産を迎える。

この38週間は、
生命進化の40億年分に相当する。

1個の卵細胞から
超スピードで細胞分裂を行いながら、
生命の進化を
胎盤の中で38週間に短縮して
実行しているのである。

私たち人間は、
魚と同じ尻尾の時代がある。
やがて手が出て足が出てというふうに、
両生類を経過するのである。
そしてだんだん脳が発達してきて
人間の姿になってくる。



サリドマイド児や、風疹ウイルスによる障害児の場合は、
身体的な障害として現れてきている。

これらは、
すべて妊娠初期に受けた、ダメージによって発生した障害である。

水俣病では、有機水銀によって
脳障害を持った子どもたちが誕生した。

明らかに
化学物質が胎児の脳に障害を与えることは、
実体験として証明済みである。

産まれた直後から
アトピーで苦しむ子どもたちは、年々増加している。
これを、自然現象と考えている人は、誰もいないはずである。

多くの人が、ダイオキシンのような化学物質が
作用しているのではないかと、推測していると思う。
一部の学者は、
間接的なデーターによって
ダイオキシンとアトピーの関係を結び付けて説明している。

それなのに、


子どもたちが化学物質によって、

脳障害を発生させる可能性を持つ


と、なぜ多くの人たちは心配しないのだろうか。
もはや、科学的にメカニズムが証明できないなどといって
放置すべきではないはずである。

水俣の有機水銀問題に対しては、
あらゆる対策が取り組まれた。
しかし最初は、科学的に証明できないとして、
脳障害を持って産まれた子どもたちの存在は放置された。
しかし、対策が取られるようになってからは、
脳障害を持つ子どもたちの誕生は、
明らかに減少した。

このことは、社会的努力によって、
子どもたちを守る事が可能であることを証明している。

サリドマイドの製造が禁止された。
その結果、サリドマイド児と呼ばれる障害を持つ子どもは誕生していない。
この場合も、社会的な努力によって障害発症を阻止している。

説明しにくい青少年の言動や犯罪の発生とが、
脳障害と結びつくと心配されている。

私たちは早急にその原因を追究する必要があり、
推定される原因に対して、
あらゆる社会的努力にて対処すべきである。
なぜなら、

脳の機能障害は、人格障害に結びつきやすいからである。


複雑な原因



青少年の脳障害と化学物質の関係は、
特定した1種類の化学物質とは考えにくい。
複数の化学物質による複合汚染
と受け止めたほうが、より正確である。

しかし、いつの時代にも「よくわからない」「科学的証明がない」と
主張する人たちが現れる。
しかし、自分自身を安全なところに位置づけて、
主張することは、多くの人を混乱させるだけである。

人間が開発し、人間が製造し使用した化学物質で、
人間自身が苦しむのであり、
どこでも、いつでも発生する可能性がある。
日本で社会生活を続ける限り
どの家庭でも、誰の子どもでも、
脳障害を発症する可能性があると受け止めるべきである。

「私の子どもは大丈夫。私の孫は大丈夫」
ということは、現在の日本ではありえない。
アトピーの発症事例を考えれば、
納得、理解できるはずであり、
「よくわからない」「証明されていない」と
否定し続ける事はできないはずである。


青少年の脳障害の問題は、全ての人が同じ立場に立っている。
「よくわからない」という言葉より、
「可能性がある」という言葉を、
全ての人が共有すべきである。

そして、
その原因を「人為的」と素直に受け止めて、
社会的解決の努力をスタートしなければならない。

方法は、まず、
人工的な化学物質に対する科学的な基礎知識を身につけることである。
そして、人間の誕生する進化の過程を理解しておく必要がある。
こうした知識を一人の100歩でなく、
100人の一歩の化学で、物事の真実を理解できる
有力な力になってゆく。

環境に問題や教育の問題は、科学的考察や実証によって
真実が解明されてゆく。
そのためには、
どうしても科学的基礎知識が必要になってくる。
もうこれ以上
環境破壊や環境汚染を続けてはならない。

未来を託す子どもたちを苦しめたり、
不安に陥れる事をしてはならない。

いかなる事があっても、
子どもたちを犯罪の加害者や被害者にしてはならない。


全ての子どもたちが、
未来の宝物として存在しなければならないし、
全ての子どもたちに、
未来を保障してあげなければならない。
それが、
現代の社会を支えている
大人たちの義務と責任である。



そして

やがては子どもたちに

美しい、環境に優しい、安全な国を

伝え残せることになる。