米でまた歯磨き回収 
中国製、有害物質混入の恐れ



米食品医薬品局(FDA)は17日までに、
米デント・フレッシュUSA社が販売している中国製練り歯磨きに
有害物質のジエチレングリコールが混入されている可能性があるため、
同社が無償自主回収に乗り出した事を明らかにした。

 対象となるのは同社の「デントフレッシュ・フルオライド・ミント」で、
これまでのところ健康被害は報告されていないという。
米国では6月に4社が、ジエチレングリコール混入で中国製歯磨きを自主回収している。

(ワシントン 時事)


ジエチレングリコール



ジエチレングリコール (diethylene glycol) は
グリコールの一種である。
ジエチルグリコールとも呼ばれる。
2分子の
エチレングリコール脱水縮合した構造を持つ。
分子式は C4H10O3、示性式は O(CH2CH2OH)2、分子量 106.1。
IUPAC命名法では 2,2'-オキシジエタノール と表される。
粘稠な無色液体で、水などの極性溶媒に溶けやすい。不凍液等に用いられる。

合成

エチレングリコールの反応副生成物として得られる。

ジエチレングリコール(エチレングリコールエーテル)の
2006年度日本国内生産量は130,079t、工業消費量は33,392tである。


反応・用途

不飽和ポリエチレン樹脂の原料として用いられる。

製品としては、不凍液のほか、ブレーキ液、潤滑剤、インキ、
たばこの添加物(保湿剤)、織物の柔軟剤、コルクの可塑剤、接着剤、
紙、包装材料、塗料などに使われる。
また、引火せず、有毒な蒸気を生じたり、皮膚吸収されないことから、
一定の反応に際して優秀な溶媒として用いられる。

皮膚吸収されないという特性により、
歯磨き(口腔化粧品)を含む化粧品にも多く用いられる。
この限りにおいて、つまり飲用・食用として摂取しない限り、
毒性は認められないとされる。
よって、歯磨きを含む化粧品の配合成分に関する規制である
薬事法「化粧品基準」においても、
ジエチレングリコールは規制対象ではない。
また旧来の規制である薬事法「化粧品種別許可基準」においても、
配合が禁止されているのはアイライナー化粧品のみである。



毒性・中毒事例

ジエチレングリコールには
経口摂取(飲用・食用)による肝、中枢神経系、腎への毒性があり、
死亡例では、下痢や嘔吐が続き、最終的には腎不全に至り死亡するケースが多い。
甘味を有するため不凍液の誤飲や、
ワインなどに添加物として混入されて中毒事件を引き起こす。
エチレングリコールも同様の性質を有するが、
ジエチレングリコール(LDL0 1000mg/kg)より
強い急性毒性(LDL0 710mg/kg)を持つ一方、環境中での半減期は短い。


ジエチレングリコールを経口摂取(飲用・食用)したことによる死亡例は多く、
1937年にアメリカで薬品の中にジエチレングリコールが混入し、
105人が死亡。

1985年にはオーストリアでワインの甘さを増す目的で
ジエチレングリコールをワイン業者が混入させてドイツなどに出荷。
日本などにも輸入され毒入りワイン事件として騒動となった。
これがきっかけとなりオーストリアではワインの混入物に対し、
厳しく対処するようになった。

2007年5月には、
パナマ政府が2006年に中国から輸入した風邪シロップとして配布した薬は
中国の業者が「
グリセリン」と偽って販売した
ジエチレングリコールが原材料に含まれていたため、
これを経口摂取した少なくとも100人以上が死亡した。

2007年7月時点でパナマにおいて387人の遺族が、
死亡の原因がこの物質の経口摂取によるものと申請している。
また153人から後遺症被害の報告が提出されている。
しかし確認された人数は100人以上としか判明していない。

また同様の事件がハイチでも発生している。
これに対し中国の国家品質監督検査検疫総局は5月31日、
ジエチレングリコールが含まれていたことを認めたが、
「輸出企業は薬として使われるという認識はなく、
偽造薬として販売したパナマの業者に責任がある」
と釈明した。
人に健康被害をもたらすのは経口摂取(飲用・食用)の場合に限られるが、
以下に述べるように歯磨き粉も回収されている。

2007年6月アメリカ政府(FDA)は、中国から輸入された、
主にホテルなど使い捨て歯ブラシなどに付属している練り歯磨き粉に
ジエチレングリコールが配合されていたとして、廃棄を呼びかけた。
これは小児、肝疾患、腎疾患患者などに対する
慢性毒性の可能性を懸念しての措置である。

2007年6月15日、日本においても厚生労働省が、
株式会社JTB商事及び昭和刷子株式会社が中国から輸入して
販売している練り歯磨き粉からジエチレングリコールが検出されたとして、
販売元が自主回収に着手したことの報道発表を行った。
なお、回収理由は全成分表示義務の違反(未表示)(薬事法第61条)であり、
健康被害を想定したものではない。
健康被害に至るジエチレングリコールの十分量の摂取の可能性は、
乳幼児においてもおよそ考えられないためである。



このように中国産への疑念が高まる中で、
中国外交部の秦剛副報道局長は7月3日の定例会見で
「問題があるのはごくわずかの企業だ。
中国製品全ての 安全性が否定されることにはならない」
「マスコミが中国製品の品質や安全性について絶え間なく 報道しているが、
誤解やでっちあげがある。
例えば2004年から 2006年にかけて米国へ輸出した
製品のうち99%が基準に合格した。
マスコミは客観的かつ理性的な報道を行って欲しい」 と反論した



しかし、こうした外交発表は、中国が国内の安全意識に欠如していることを表している。

問題がある企業はわずかであるとのことだが、中国国内に点在していた場合は、

わずかであっても国内全域に広がるはずである。

中国のこうした姿勢は、国民に安全意識を持たせることはできないし、

「あそこで使っているから」「この企業がやっているから」少しぐらいいいだろう。

など国民の意識は自分もやらなければ、自分も使わなければ

「損をする」になっているのではないだろうか。


安全がどれほど大切なことか。

国民を守ることがどれほど大事なことなのか。

国家が率先して国民を導くことの重要性は、

日本が歩んだ経済発展の名のもとに

国民の健康破壊が進んだ状況を

再度確認してほしいものです。


コラム社説2007年07月16日(月)付 愛媛新聞

不安募る中国産品 対策へ国際的な連携も必要だ

 出るわ、出るわ。世界で中国産の食品や製品から次々と有毒物質などが検出され、
信頼が大きく揺らいでいる。
日本は中国産品の一大輸入国だけに、消費者の不安は募る一方だ。
 パナマでは深刻な被害が出ている。
中国製の有毒物質ジエチレングリコールを含むせき止め薬の服用で昨年六月以降、
多数の死者が出ている。

有毒物質は甘味料として使われるグリセリンと偽って販売され、
パナマの社会保険基金が製造した。
 政府が確認しただけでも犠牲者は約百人に上る。
薬は発売禁止されたが死者は今も増えており、痛ましい限りだ。


 米国でも中国製原料を使ったペットフードや飼料への化学物質混入などが発覚。
中国製練り歯磨きの一部からはジエチレングリコールが検出され、
政府はすべての中国製練り歯磨きを使わないよう警告している。


 日本も例外ではない。
中国政府は食品会社など四十一社の安全性に
問題があったとして輸出禁止を発表した。
日本に食品を輸出していたのは十一社で、
禁止品目は抗菌剤が基準を超える「ウナギのかば焼き」、
大腸菌を検出した「冷凍カニ」など。
消費者になじみ深い産品ばかりで、ショックは大きい。
 十一社の食品は東京など四カ所の検疫所で有毒物質を確認し
厚生労働省が輸入を差し止めていたという。
「国内での流通はないはず」と同省は言うが、徹底確認が求められる。
 というのも名古屋検疫所で最近、
食品衛生法の基準を超える農薬が検出された
中国産ショウガ約二十五トンの輸入を
誤って許可した例があるからだ。
職員が検査結果を見誤ったりした。これでは安心できない。
緊張感を持って検査してほしい。


 中国国内では有毒物質が含まれた食品などによる被害が後を絶たないが、
近年は世界各国が安価な中国産品を輸入するようになった。
そのため被害が目立つようになったともいえる。

 急ぐべきは国内の対策強化だ。
中国では改革開放路線の影響で
「もうけるために手段を選ばない」という
拝金主義がまん延し、モラル低下が著しい。
行政側も企業と癒着し、十分に取り締まれない状況という。
 嘆かわしい事態だが、手をこまぬいてはいられない。
胡錦濤指導部は「調和社会」づくりを掲げ、
経済成長最優先だった前指導部の路線から脱却を図ろうとしている。
北京五輪を控え、国際社会の信用を取り戻すためにも
モラル向上と取り締まり強化に全力を挙げるべきだ。

 輸入側の対策も急務だ。
米国と欧州連合(EU)の担当部局は
食品の安全性評価について協力を強化する協定に調印した。
中国産品の検査手法や生産業者などに関する非公開情報を
公式に共有できるようになった。

 一方、米国と日本も協力して情報交換などを進めることになった。
米国は
「中国からの食品輸入の歴史が長い日本から学ぶ必要がある」
としている。

日本は期待に十分応えるとともに、
各国と連携して有害産品の輸入阻止に努める必要がある。